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1996年日语能力考试1级真题(2)

来源: 1235yinming@ | 更新日期:2015-07-28 17:02:31 | 浏览(19)人次

読解・文法  (200点 90分)

問題Ⅰ 次の文章を読んで、後の問いに答えなさい。答えは、1・2・3・4から最も適当なものを一つ選びなさい。

   旅に出るときカメラは一応持って行くけれど、実際に写真を写すことは少ない。

 大袈裟な主義主張があるわけではないけれど、私にとってはカメラは邪魔になることのほうが はるかに多い。その理由は----

カメラを持っていると、どうしても写真が撮りたくなる。いや、撮りたくなるというより撮ら なければいけないような義務感が心のなかに生ずる。

----「 A 」------

と思って感銘(注1)した次の瞬間、

----「 B 」-------

そんな意識が脳裏(注2)に蠢いて、これがわずらわしい。  

そればかりではない。いったんシャッターを押してしまうと、

-----「 C 」-------

 といった気分が心を占め、眼の前の佳景(注3)をしっかりと観賞し、記憶に留めおくという作用がどうしても甘くなる。中途半端にながめて、あとは後日写真ができあがったときに委ねて(注4)しまおうという心理が働く。

   これがどうも風物を観賞するうえで間違った道のような気がしてならない。

   私自身が入江泰吉(注5)さんとか浅井慎平さんとか、一流カメラマン並みの撮影技術を持っているのならよいけれど、実力は安いカメラでスナップを写す程度のもの。あとでできあがった写真は絵 葉書にも①遠く及ばない。結局のところ、景色をろくに見なかったこととさして(注6)変わりがない。そんなことなら初めからカメラなど当てにしないほうがいい。数年前にそう悟って、以来めったに写真を撮らなくなった。

 カメラがないとなると、観賞法そのものもおのずと厳しくなる。②余計なことを考えずにすむから、心ゆくまで(注7)賞味することができる。

 しかも、これから先に述べることは自分でもはっきりと断定できない微妙な心の作用なのだが、カメラがなければまのあたりに見たことをハーフ・メードの形で文章化しておくという仕事も、無意識のうちでやってしまうようだ。

-------この風景を小説の中で描写するとしたらどう書くだろうか--------

頭の片すみでそう考え、完全に文章化することまではしないカくなにかしら頭の中に文章に近 い形に変えて貯蔵するようになる。

   ハーフ・メードというのは、その言葉の語義から言って50パーセントほど製品化することだろうから、私の場合はとてもそこまではやらないけれど、10パーセントか20パーセントくらい ( ③ )を自分の表現に変えて脳裏に記録するところがあるようだ。これがあとで小説やエッ セイを書くときに役に立つ。

④こんな作用は一般の人々にはあまり必要なことではあるまいが、旅先で写真を撮るこどにばか り夢中になっている人を見ると、 --------あんなことで風物をよく観賞することができるのだろうか------

と、不思議に思わないでもない。

(阿刀田高『左巻きの時計』新潮文庫による)

(注1)感銘:深い感動

(注2)脳裏に蚕く:頭の中

(注3)佳景:いい景色で動き出す 

(注4)委ねる:任せる

(注5)入江泰吉、浅井慎平:有名な写真家

(注6)さして:それほど

(注7)心ゆくまで:気が済むまで

問(1)  ( A )( B )( C )に入る組み合わせとして、最も適当なものを選びなさい。

1.

(A)いい景色だなあ

(B)うん、これでいい

(C)ああ、そうだ。写真に写しておかなくちゃあ

2.

(A)ああ、そうだ。写真に写しておかなくちゃあ

(B)いい景色だなあ

(C)うん、これでいい

3.

(A)うん、これでいい

(B)ああ、そうだ。写真に写しておかなくちゃあ

(C)いい景色だなあ

4.

(A)いい景色だなあ

(B)ああ、そうだ。写真に写しておかなくちゃあ

(C)うん、これでいい

問(2)  ①遠く及ばないとはここではどういうことか。

1.写真も絵葉書も実際の景色のすばらしさにはとてもかなわないこと

2.自分で撮った写真より絵葉書の方がはるかにすぐれていること

3.自分のカメラでは絵葉書のように遠くの景色がうまく撮れないこと

4.絵葉書よりも自分で撮った写真の方がずっと価値があること

問(3)  筆者は自分の撮影技術をどのように思っているか。正しいものを選びなさい。

1.カメラなど持つ資格はない。

2.それほど一ヒ手だとはいえない。

3.絵葉書の写真程度には写せる。

4.かなり高い撮影技術を持っている。

問(4)  ②余計なこととはどのようなことか。

1.景色を十分に味わわなければならないということ

2.景色をしっかり記憶しなければならないということ

3.景色を写真に撮っておかなければならないということ

4.景色を文章で表しておかなければならないということ

問(5)  ③に入る適当なことばを選びなさい。

1.写した写真     2.頭の片すみの文章     3.眼で見たもの     4.微妙な心の作用  


問(6)  ④こんな作用とはどのようなことか。

1.風景をある程度文章にして記憶すること

2.風景を深く観賞し、記憶に留めること

3.風景をテーマに小説やエッセイを書くこと

4.風景の写真を撮ることに疑問を感じること

問(7)  筆者にとってカメラのない旅の利点は何か。

1.写真の代わりに文章の形で残るので小説などの作品がふやせること

2.無意識のうちにハーフ・メードの文章を書く技術が進歩すること

3.一流カメラマン並みに写真を撮れたかどうか心配しなくてもいいこと

4.風物を十分観賞できるうえに、ある程度文章化して記憶できること


問題II   次の文章を読んで、後の問いに答えなさい。答えは、1・2・3・4から最も適当なものを一つ選びなさい。

   仕事のことで、あなたは同僚の村山氏に助けを求めた。村山氏は自分の仕事を犠牲にして、時間もお金も使って助けてくれた。しかし結果は、あなたの窮状(注1)をわずかに救ってくれたにすぎない。他方、あなたは小沢氏にも助けを求めた。小沢氏は電話一本で、窮状を救ってくれた。さて、あなたは二人のどちらにより強い恩義を感じるだろうか?

  対人心理学では、恩義 (注2)の強さはコストとあなたが得た利益で決まると考える。

 コストとは、相手があなたを助けるために費やした時間やお金、もろもろの犠牲のことである。利益もお金や物とは限らない。地位や名誉、失わずにすんだ面目の場合もあるだろう。

 コストや利益が何であるにせよ、恩義はコストが( a )ほど、また利益が( b )ほど、強く感じる。恩義の強さは、コストの量と利益の量の( c )で決まるというのである。

「恩や義理は、日本人の人間関係の根幹(注3)にかかわる問題だ。それを①コストだ利益だなどというのはけし(注4)からん」と思う人もいるだろう。( d )、「恩を売ったり」「借りを返したり」、 見舞いの半返し(注5)をしたり……②日本人の人間関係だって意外と計算高い。

  そこで、冒頭の話をこう言い換えてみよう。

  村山氏の払ってくれたコストが(  e  )、彼がもたらした利益を(  f  )とすると村山氏には11の恩義が生じる。小沢氏の支払ったコストは(  g  )、もたらされた利益がhとすると小沢氏にも11の恩義が生じる。同じ値になったとき、実感として、あなたはどちらに強い恩義を感じるだろうかというのが当方(注6)の問いだったのである。

  この問いに対して、アメリカの心理学者は、小沢氏の方に強い臓を感じると言っている。結果が重要だということであろう。ところが、日本人を対象として検討したところ、 (  i  )という結果が出た。

  どうも日本人は、結果もさることながら、助けてくれるために多くのコストを支払ってくれたという事実を重んじて、恩義を感じるようである。

                                      (相川充「OL・サラリーマン行動学⑤」1994年3月12日付朝日新聞夕刊による)

(注1)窮状:非常に困った状態

(注2)恩義:恩と義理、人から受けた親切に感謝し、いつかお礼をしなければならないと思う気持ち

(注3)根幹:基本、基礎

(注4)けしからん:許せない

(注5)半返し:贈られた金や品物の半額に当たるものを相手に返すこと

(注6)当方:私

問(1)  (  a  )(  b  )に入る言葉の組み合わせとして正しいのはどれか。

1.a 小さいb 大きい     2.a 大きいb 小さい     3.a 大きいb 大きい     4.a 小さいb 小さい  


問(2)  (  c  )に入る最も適当な言葉はどれか。

1.割り算     2.引き算     3.暗算     4.足し算  


問(3)  ①コストだ利益だなどというとあるが、ここではどういうことか。

1.コストや利益はつまらないことだということ

2.コストや利益と いうような概念で考えること

3.コストや利益という言葉の意味を考えること

4.コストと利益のどちらが重要か考えること

問(4)  (  d  )に入る最も適当な言葉はどれか。

1.だから     2.それに     3.いわゆる     4.しかし  


問(5)  ②日本人の人間関係だって意外と計算高いとあるが、計算高い人間関係が存在する社会とはどのような社会か。(1)

1.恩や義理などが計算の対象となりうるものだと考えるような社会

2.恩や義理を売ったり返したりすることで非常に金がかかるような社会

3.計算が得意か不得意かということが人間の評価と関係するような社会

4.自分の金と時間を犠牲にしてでも他人を助けようとするような社会

問(6)  (  e  )~(  h  )に入る数字の組み合わせとして正しいのはどれか。

1.e:1 f:10 g:10 h:1

2.e:10 f:1 g:1 h:10

3.e:10 f:1 g:10h:1

4.e:1 f:10 g:1 h:10

問(7)  (  i  )に入る言い方として最も適当なものはどれか。

1.村山氏にはそれほど恩義を感じない

2.小沢氏にも同じくらい恩義を感じる

3.村山氏の方に強い恩義を感じる

4.小沢氏には恩も義理も感じない



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