日语 【夕顔篇】夕顔の咲く辺り

来源: wanghongjie | 更新日期:2015-04-19 05:43:25 | 浏览(18)人次

日语">日语 【夕顔篇】夕顔の咲く辺り

◆ 夕顔の咲く辺り


六条わたりの御忍び歩(あり)きのころ、内裏(うち)よりまかでたまふ中宿(なかやど)りに、「大弐(だいに)の乳母(めのと)のいたくわづらひて尼になりにける、とぶらはむ」とて、五条なる家尋ねておはしたり。


 御車入(い)るべき門(かど)は鎖(さ)したりければ、人して惟光召させて、待たせたまひけるほど、むつかしげなる大路(おほぢ)のさまを見渡したまへるに、この家のかたはらに、檜垣(ひがき)といふもの新しうして、上は半蔀(はじとみ)四五間ばかり上げわたして、簾などもいと白う涼しげなるに、をかしき額(ひたひ)つきの透き影、あまた見えて覗(のぞ)く。立ちさまよふらむ下(しも)つ方思ひやるに、あながちに丈(たけ)高き心地ぞする。「いかなる者の集へるならむ」と、様(やう)変はりて思さる。


 御車もいたくやつしたまへり、前駆(さき)も追はせたまはず、「誰(たれ)とか知らむ」とうちとけたまひて、すこしさし覗きたまへれば、門は蔀(しとみ)のやうなるを、押し上げたる、見入れのほどなく、ものはかなき住まひを、あはれに、「何処(いづこ)かさして」と思ほしなせば、玉の台(うてな)も同じことなり。


 切り懸(か)けだつ物に、いと青やかなる葛(かづら)の心地よげに這(は)ひかかれるに、白き花ぞ、おのれひとり笑みの眉(まゆ)開けたる。「遠方人(をちかたびと)にもの申す」と、ひとりごちたまふを、御隋身(みずゐじん)つい居て、「かの白く咲けるをなむ、夕顔と申しはべる。花の名は人めきて、かうあやしき垣根になむ咲きはべりける」と申す。げにいと小家(こいへ)がちに、むつかしげなるわたりの、この面(も)かの面、あやしくうちよろぼひて、むねむねしからぬ軒のつまなどに這ひまつはれたるを、「口惜しの花の契りや。一房折りて参れ」とのたまへば、この押し上げたる門(かど)に入りて折る。


 さすがに、ざれたる遣(や)り戸口に、黄なる生絹(すずし)の単袴(ひとへばかま)、長く着なしたる童(わらは)の、をかしげなる出で来て、うち招く。白き扇のいたうこがしたるを、「これに置きて参らせよ。枝も情けなげなめる花を」とて取らせたれば、門開けて惟光の朝臣(あそん)出で来たるして、奉らす。「鍵を置き惑はしはべりて、いと不便(ふびん)なるわざなりや。もののあやめ見たまひ分くべき人もはべらぬわたりなれど、らうがはしき大路(おほぢ)に立ちおはしまして」と、かしこまり申す。引き入れて、下りたまふ。


(現代語訳)



 六条辺りに、源氏がお忍び通いをなさっていたころ、宮中から出て行かれる途中のお休み場所として、「大弍の乳母が重い病気になって尼になっていたのを、お見舞いしよう」ということで、五条にあるその家を訪ねていらっしゃった。


 お車が入るべき正門は閉ざしてあったので、源氏は従者に惟光を呼びにやらせ、お待ちになっている間、むさ苦しげな大路の様子を見渡していらっしゃると、この家の隣に、桧垣というものを新しく作って、上方は半蔀を四、五間ほどずらりと吊り上げて、簾などもとても白く涼しそうなところに、美しい額つきをした透き影が、たくさん見えてこちらを覗いている。立ち動き回っているらしい下半身を想像すると、やたらに背が高い感じがする。源氏は、「どのような者が集まっているのだろう」と、風変わりな思いをなさる。


 源氏は、お車もたいそう地味になさり、従者に先払いもおさせにならず、「誰とも分かろうはずがない」と気をお許しなり、少し覗いてご覧になっていると、門は蔀のようなのを押し上げてあって、その奥行きもなくささやかな住まいであり、しみじみと、「どの家を終生の住みかとできようか」とお考えになってみると、立派な御殿も同じことである。


 切り懸けめいた板塀に、とても青々とした蔓(つる)草が気持ちよさそうに這いまつわっているところに、真っ白い花が、自分ひとりにこやかに明るく咲いている。「遠方の人にお尋ねする」と独り言をおっしゃると、御随身がひざまずいて、「あの白く咲いている花を、夕顔と申します。花の名は人を連想させますが、このようなみすぼらしい家の垣根に咲くのでございます」と申し上げる。なるほど辺りは小さい家が多く、むさ苦しそうな所で、この家もあの家も見苦しくよろけ傾いて、頼りなさそうな軒の端などに這いまつわっているのを、「気の毒な花の定めよ。一枝手折ってまいれ」とおっしゃるので、この押し上げてある門から入って折った。


 そうは言うものの、しゃれて趣のある遣戸口に、黄色い生絹の単袴を、長く着こなした女童で、かわいらしげな子が出て来て、ちょっと手招きをする。白い扇でたいそう香を薫きしめたのを出して、「これに載せて差し上げなさいませ。枝も風情なさそうな花ですもの」と言って渡したので、御随身は門を開けて出てきた惟光朝臣に託して、源氏に差し上げさせた。惟光は、「鍵を置き忘れまして、大変ご迷惑をおかけいたしました。どなた様と分別申し上げられる者もおりませぬ辺りですが、ごみどみした往来にお立ちになられて」とお詫び申し上げた。車を引き入れて、源氏はお降りになった。


(注)大弍の乳母 ・・・ 源氏の乳母。源氏の家来である惟光の母。

(注)半蔀 ・・・ 「蔀」は格子の裏に板を張った板壁。「半蔀」は上半分が蔀となって外側に吊り上げられるようになっている。

(注)切り懸けだつ ・・・ 柱に横板を少しずつずらして打ちつけた板塀。


日语">日语 【夕顔篇】夕顔の咲く辺り

文章标签:日语 【夕顔篇】夕顔の咲く辺り,阅读学习,日语更多相关文章信息
如果下面的推荐课程让您意犹未尽,请猛击这里查看全部课程。
课程名称 有效期 课时 原价 优惠价 试听 购买
新版标准日本语初级上册 240天 80节 580.0元 370.0元
新版标准日本语初级下册 240天 75节 690.0元 480.0元
新版标准日本语初级全套 (上册、下册)
关闭查看课程有效期
查看
155节 1270.0元 590.0元
新版标准日本语中级 360天 243节 980.0元 590.0元
新版标准日本语全套(初级、中级)
关闭查看课程有效期
查看
398节 2250.0元 840.0元
新版标准日本语初级(上册)(唐蕾版) 240天 96节 698.0元 498.0元
新版标准日本语初级(下册)(唐蕾版) 240天 96节 698.0元 498.0元
新版标准日本语初级全套(上册、下册)(唐蕾版) 192节 1396.0元 898.0元
每天30分钟玩转日语发音 60天 19节 298.0元 198.0元
大家的日语(1) 240天 60节 600.0元 500.0元
N5达人日语会话 120天 37节 598.0元 398.0元
大家说日语(1) 150天 15节 398.0元 258.0元
大家说日语(2) 150天 18节 498.0元 358.0元
日语发音+大家说日语1.2套餐
关闭查看课程有效期
查看
52节 1194.0元 498.0元