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撞大运和碰小运

来源: wawj | 更新日期:2015-07-13 17:05:25 | 浏览(20)人次

むかしむかし、ある山おくのほらあなに、ぐひんさんがすんでいました。

 ぐひんさんとは、テングのことです。

 このぐひんさんのうらないは、とてもよくあたるとひょうばんでした。

 そこで、おなじころに子どもが生まれることになった木兵衛(もくへいえい)と太郎兵衛(たろうへいえい)は、はるばるぐひんさんをたずねて、子どもの運をみてもらうことにしました。

 ぐひんさんは、大声でじゅもんをとなえると、やがて木兵衛にいいました。

「神さまのおおせられるには。木兵衛、おまえのとこには、竹三本のぶにの子が生まれる」

「竹三本のぶに?」

「そうじゃあ、人には生まれながらにそなわった運命がある。それすなわち、ぶにじゃ」

「というと、おらの子は、たったの竹三本しかそなわらんのか?」

 木兵衛はガックリです。

 ぐひんさんは、こんどは太郎兵衛にいいました。

「太郎兵衛、おまえのところには、長者(ちょうじゃ)のぶにの子が生まれる。長者になるさだめじゃあ」

「・・・長者ねえ」

 ぐひんさんのうらないを聞いて、二人は山道を帰っていきました。

 それからしばらくして、二人の家に子どもが生まれました。

「たまのような男の子じゃ」

「うちは女の子じゃ」

 どちらも元気な子で、二人は手をとりあってよろこびました。

 木兵衛の子は吾作(ごさく)、太郎兵衛の子はおかよと名づけられ、二人の子どもはスクスクと育ちました。

 ある日のこと、木兵衛と太郎兵衛が畑仕事をしているところへ、吾作とおかよがきて、

「おとう、昼めしじゃあ」

「みんなでいっしょに食べようよ」

「おうおう、そうすべえ」

 あぜ道で、四人そろってにぎりめしを食べました。

「うまいのう、ありがたいこっちゃ」

と、いう太郎兵衛に、おかよはニッコリ。

 ムシャムシャ・・・、ガチン!

木兵衛がかぶりついたにぎりめしに、小さな石が入っていました。

「なんや、石なぞ入れおって。ペっ」

 木兵衛は、めしつぶごと石をはきだしました。

「ぺっ、ペっ、ペっ」

 吾作がおなじようにまねをして、めしつぶをはきだしました。

「ああ、もったいないことをして、石だけえらんではきだしたらよかろうに。なあ、おかよ」

と、太郎兵衛とおかよは、石についているめしつぶをひろいました。

 それを見ていた木兵衛は、わらいながら、

「石だけえらぶなんて、しんきくさいわい。おらあ、しんきくさいことは大きらいじゃ。太郎兵衛どんは、よくよくの貧乏性じゃのう。アハハハハハッ」

 吾作もいっしょになって大わらい。

「おら、どうももったいないことがでけんのや。アハハハハハッ」

 やがて大きくなった吾作は町へ行き、おかよはとなり村へはたらきに出ました。

 そして何年かたって、町へ出た竹三本の吾作は、なんと竹屋にほうこうして、竹かごをあむことや、輪がえの仕事をおぼえて、村にもどってきました。

 木兵衛は、うれしそうにいいました。

「よしよし、それだけの仕事を身につけたらりっぱなもんや。そのうちにゃ、竹三本どころか、竹百本、うんにゃ、竹千本の金持ちにだってなれるわい。吾作、がんばれよ」

 こうして吾作は、村をまわって、輪がえをするようになったのです。

 でも、毎日毎日、輪がえをしても、お金は思うようにたまりません。

「ああ、輪がえというのは、しんきくさい仕事じゃあ」

 ある日のこと、となり村まで足をのばした吾作は、長者やしきの前でよびとめられました。

「輪がえ屋さん、おけの輪がえをおねがいします」

 お手伝いの娘が、こわれかけたおけを持って、やしきから出てきました。

(長者さまなら、輪がえなんぞしないで、新しいおけをこうたらええのに)

 輪がえをしながら、吾作はそう思いました。

 そこへ、長者さまの嫁さまが通りかかり、輪がえをしている吾作を見て、なつかしそうにいいました。

「あれえ、吾作さんやないか。あたし。ほら、小さいころよくいっしょに遊んだ、となりの」

 吾作は、嫁さまの顔を見てビックリ。

「ありゃあ! おかよちゃんでねえか。こ、ここの嫁さまになられたのでござりまするか?」

「ええ。あとでにぎりめしをこさえたげるよって、待っとってな」

 そういって、やしきに入っていくおかよを、吾作はぼうぜんと見ていました。

 長者の嫁として、なに不自由なく、くらしているおかよは、吾作にも自分のしあわせをわけてあげたいと思い、にぎりめしの中に一まいずつ、小判をしのばせました。

 その小判は、おかよが何年もかかってようやくためたものでした。

 長者やしきの仕事がすんだのは、お昼をだいぶすぎたころでした。

 はらぺこの吾作は川岸へいって、おかよからもらったにぎりめしを食べることにしました。

「こりゃ、うまそうじゃ。さすが、長者さまの家のめしはちがうわい」

と、にぎりめしを手にとり、パクリ。

 力チン!

 歯にかたいものがあたりました。

「ペッ! なんや、えらい大きな石が入ったもんじゃ」

 吾作は、にぎりめしを川の中にはきだすと、二つめのにぎりめしにかじりつきました。

 カチン!

「これもや。ペッ!」

 三つめも。

 力チン!

「これもや。ペッ!」

 四つめも、五つめも。

「なんじゃ、このにぎりめしは? どれもこれもみんな石が入っとるやないか」

 さいごの一つも、やはり、力チンときました。

 これも川にはきすてようとして、吾作はふとそのにぎりめしを見ました。

「待てよ、長者の家のめしにゃ、どんな石が入っとるんじゃ? ・・・ややっ、これは!」

 にぎりめしの中から出てきたのは、なんと小判でした。

「し、しもうた。まえに入っていたのも、小判やったんじゃ」

 おかよの心をこめたおくりものは、深い川のそこにしずんでしまいました。

 その話を聞いた木兵衛は、吾作におこりました。

「なんで、はじめに力チンときたときに、たしかめなかったんや! そうすりゃ、七まいもの小判がもらえたじゃろが!」

「けど、石だけえらびだすようなしんきくさいことはきらいやろ? やっぱりおらには、運がないんや」

 木兵衛は、そのことばを聞いて、ハッとしました。

「そうか、おかよは長者の嫁になったし、やっぱりぐひんさんのいうたとおり、竹三本に生まれた者は、それだけにしかなれんということなんや」

 木兵衛がガックリしていると、どこからともなくぐひんさんがあらわれて、いいました。

「それはちがうぞ、木兵衛。おかよが長者の嫁になれたのは、こまごまとよう気がついて、物をたいせつにするよいおなごだったからじゃ。いくらええぶにを持っとっても、それをいかせん者もおる。小さなぶにしかのうても、大きな運をつかむ者もおる。 ぶにとは、努力しだいでまねきよせることができるものなのじゃ。心がけひとつじゃぞ、木兵衛」

 それからというもの、木兵衛も吾作も、ものをたいせつにするようになり、おかげで、だんだんお金もたまるようになりました。


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