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　　メロンの歴史

　　メロンはアフリカで生まれたと考えられています。北アフリカのニジェール河沿岸という説が、最も有力です。そのころはキユウリと同じように野菜として利用されていたようです。そして、中央アジアでいろいろな種類に別れ、主としてヨーロッパ方面に伝わったものがメロンになり、中国に伝わったものはマクワウリになったと言われています。アメリカへは新大陸発見後ヨーロッパから伝えられ、我が国へはアメリカの露地メロンとヨーロッパのメロンが明治になって伝えられたようです。これとは別にマクワウリの系統は1600年代に韓国から、1800年代に中国から様々な系統が伝えられました。

　　現在、日本で栽培されている温室メロンは、1895年にイギリスで作られた「アールスフェボリット」という品種で、1925年（大正14年）に伝わりました。「アールスフェボリット」を作ったのは、イギリスのラドナー伯爵の農園長であった、H.W.ワードという人で、その名前は、アールス（伯爵の）フェボリット（愛好物）という意味てす。

　　この「アールスフェボリット」の特徴は、美しい綱目（ネット）があり、また別名マスクメロンと呼ばれるように香りがあることで、現在、この品種を作っているのは世界中で日本だけです。

　　主な種類

　　一ロにメロンと言っても、いろいろな種類があります。例えば、栽培方法や品種の特性により、温室メロン（アールスフェボリット）、ハウスメロン、露地メロン、また、果実表面にネットがあるものをネット系メロン、ネットがないものをノーネット系メロン、さらに果実を切った時の果肉の色で緑肉系、赤肉系、白肉系とに分けられ、大変複雑な分類になります。

　　現在、メロンの中では、温室メロン（アールスフェボリット）の品質（ネットや味）が最高とされており、この品質を目標として作られたハウス栽培用の品種（アールス系ハウスメロン）が全国各地で多く栽培されています。

　　温室メロンの特徴

　　静岡県で生産されている温室メロンの特徴として、①ガラス温室を使って一年中栽培されている、②「アールスフェボリット」を使っている、③栽培ベッドを使って、地面に直接植えない、④毎日の水掛けで生育や品質をコントロールする、⑤1本の木に1個の果実しかつけない、などが上げられます。こうして毎日丁寧に管理された静岡県産温室メロンは、メロンの中ても最高の品質を誇り、全国一の生産地になっています。

　　温室メロンの栽培

　　温室メロン栽培はまず、種をまいて苗を育てます（20日間）。そして、この苗を栽培ベッドに植えて25日ぐらいたつと、果実を着ける枝に雌花が咲きます。雌花が咲いてから約50日で収獲できるので、種まきから収獲までおよそ95日かかります。このメロンの生育は気温によって日数が変わります。暖かいときは短く、寒い時期は110日ぐらいかかります。温室メロンは一年中作っていますから、1棟の温室で一年に4.5回（苗を植えてから収獲まで）栽培されます。メロン農家は一軒あたり温室を平均して7棟くらい持っていますので、一年に31.5回も栽培していることになります。

　　温室メロンの消費

　　静岡県の温室メロンは、作付面積514ha、生産量18，000t、生産額217億円で、温室メロンの生産としては全国第一位です。生産された温室メロンは、主に贈答用や結婚式、レストランのデザートなどとして、日本中に出荷されています。またメロンの成分を抽出してアイスクリームに入れたり、メロンの香りが好まれています。メロンはビタミンやカリウムなどを豊富に含んでおり、特に利尿作用（おしっこの出を良くする）成分が多く、体内の老廃物の排泄を助ける働きがあります。